悩ましい肩こり
肩から首にかけて、重いような張ったような感覚、痛みなどがある肩こり。
日本人に多く国民病といわれるように、多くの人が経験したことのある疾患です。
またひどい肩こりの場合には、頭痛や吐き気を伴うこともあり、肩こりが慢性化している人に多くみられます。
そして肩こりにはこれといった診断方法や治療方法がないので、痛みを和らげるなどの対処療法がとられます。
肩こりの原因は様々
原因は、首周りの緊張です。
人はただ普通に立っているだけでも首と肩に大きな負担がかかっています。
上では重い頭を支え、さらに肩では腕を支えています。それだけで、肩周辺の筋肉は緊張状態が続いているといえるのです。
それに加えて様々な要因が絡むことによって引き起こされると考えられています。
- 運動不足、ショルダーバッグを常に同じ方の肩にかける、長時間同じ姿勢での作業をするなどの生活習慣
- 冷え、目の疲れ、精神的なストレス
- 貧血、低血圧、高血圧、目の病気などの持病
- 加齢による関節や筋肉の衰え、更年期障害
これらは首回りや肩の緊張を誘発しやすい状態を表しています。
緊張が続くと筋肉の疲労が蓄積し、血行不良が生じて、肩こりが発生しやすくなってしまいます。
肩こりに潜む怖い病気
誰もが経験するような身近な疾患の肩こりですが、実は単なる肩こりではなく病気が潜んでいることあるので注意が必要です。
神経は体中に張り巡らされています。
病気の痛みが脳に伝達されるとき、その通り道にある別の神経に痛みの刺激が伝わってしまうことがあります。
結果、病気とは関係のないところからの痛みを感じる「関連痛」が起きるのです。
ひどい肩こりが長く続く、肩こりの症状と同時に胸の痛みや締め付け感、手足のしびれ、めまいや頭痛を伴う場合には病気を疑う必要があります。
肩こりに潜む病気の代表的なものとして、狭心症、心筋梗塞などがあります。
狭心症
心臓へ血液を送るための冠動脈が動脈硬化によりせまくなってしまい、心臓に負担がかかる動作をしたときに胸が締め付けられるように痛くなる病気です。
胸の痛みは数分から十数分で落ち着きます。また安静にしているときには症状はでません。
胸の痛み以外にも、あごや歯、背中の痛みが出る場合があり、そこには肩こりのような痛みも含まれます。
通常の肩こり以外に胸の圧迫感などを伴う場合には狭心症を疑う必要があるかもしれません。
心筋梗塞
心筋梗塞は心臓の血管が完全に詰まる病気です。突然始まることが多く、胸の痛みが激しく、息苦しさや吐き気を伴うこともあります。
この病気の前兆に肩こりがあるといわれています。
通常の肩こりとは違い、急に左肩に肩こりを感じる場合が多いようです。
数分から数時間の短い間に痛みの強弱が現れたり、のちに痛みが消えるということを繰り返すことが特徴です。
このような肩こりを感じた場合には要注意です。
胆石症
胆嚢や胆管に「胆石」と呼ばれる石ができ、痛みなどの症状を引き起こす病気です。
主にみぞおちの痛みや不快感、腹痛にともなって背中側にや右肩に痛みの症状が現れることもあります。
その痛みは非常に激しいものから、軽い鈍痛のようなものまで様々で、痛みが引いたり現れたりするのが特徴です。
肩こりの症状がサインとなる病気は、一見、肩こりや肩の痛みなどからは関係ないような場合もあるのです。
病気の早期発見にもつながります。
症状から病気は判断できるもの?
肩こりが潜む病気はさまざまありますが、その症状だけでは病気は判断できません。
別の症状なども考慮しながら病気を疑い、判断することになるでしょう。
しかし、肩こりや肩の痛みが病気のサインや前兆であることは間違いありません。
単なる肩こりだと軽視することなく、長引く場合や痛みが改善することなく強くなる場合には気を付けなくてはいけません。
できるだけ早めの受診を
肩こりにはこれといった治療法がありません。日頃から肩こりにならないように予防をすることが大切です。
予防の基本は、肩を動かす、温める、リラックスする(緊張状態を続けない)ということです。
運動で適度に体を動かすのもいいでしょう。また入浴で体を温め血行をよくすることは、冷えの改善につながります。
同じ姿勢で長時間作業をしなければならないときは、休憩をしながらストレッチをするなど、簡単なことで肩こり予防ができます。
またひどい肩こりがなかなか改善しないという場合には、早めに整形外科または接骨院を受診することをおすすめします。
肩こりには病気が潜んでいることも考えられます。小さなサインを放っておいてはいけません。
整骨院には国家資格保有の施術者がいるので、小さな症状でもきちんと見てもらうことが可能です。
さまざまな症状を見極めて適切な対処をしてくれますので、放置せずに早めの受診を心がけましょう。